BERTはGoogleしごと検索に影響するか

2019年10月25日、Googleは検索エンジンのアルゴリズムをアップデートしたと発表しました。このアップデートは自然言語処理の技術を利用し、セサミストリートのキャラ名をとってBERTと名付けられました。BERTはBidirectional Encoder Representations from Transformersの略でこの記述自体は1年ほど前にオープンソースで公開されていました。
この自然言語処理技術の導入により、我々人間が人間同士で使っている言葉のやり取りを精度高く検索エンジンが理解できるようになり、検索をするときも人間に話しかけるような文章をクエリとして入力します。
こちらのブログではパスポートの有効期限が切れたときの手続きについて検索する例を出していますが、まさにそのような感じで「東京で手取り25万円くらいで事務の仕事をしたい」というクエリを入力することで検索結果を確認することができます。
残念ながらBERTは現在は英語のみに対応していますが、Googleは最初に英語でサービスを導入し、その後は様々な言語へ横展開しますので日本語でもBERTによる検索アルゴリズムが適用されるはずです。
Googleしごと検索で必要な対応はあるか?
そもそも、Googleしごと検索は通常のGoogle検索アルゴリズムではなく、Cloud Talent Solutionの一部である、求人検索専用のアルゴリズムが用いられています。なので、現時点でGoogleしごと検索内での検索順位がどのように変わるかはわかりません。私個人の考えでは、影響はさほど無いのではと考えています。なぜなら、BERT自体が「検索者にとってよりよい検索結果をもたらすために」生み出されたもので、それはGoogle検索でもGoogleしごと検索でも同じで、求人情報を掲載する企業はこれまで通りガイドラインに則り、求職者が求める情報をリッチにコンテンツ化することが求められるからです。
Googleしごと検索の発信をしていると、「検索結果の上位に表示されるにはどうしたらよいのか」という質問を頻繁にいただきます。結論からすると、「ガイドラインに則ってコンテンツをリッチにするしかない」という回答が最も正しいと思います。そしてこちらに鈴木氏が解説している通り、「人間が読んでわかりやすい単語使い、文章でコンテンツを作成すること」が重要でしょう。
Googleしごと検索がローンチされた当初は、titleに地名を入れる、とにかく更新日が新しいものが上位表示されやすいなどのブラックハットSEO的なテクニックを使えたことがありましたが、それもGoogleしごと検索上では通用しなくなりました。
今後の影響は?
BERTがGoogleしごと検索にも使われたとして、ランキングに影響はないとは言い切れません。しかしこれまで通りガイドラインに則り、誰が読んでもわかりやすい求人情報(コンテンツ)を作成しておけば問題はないはずです。わかりやすいコンテンツとはなにか、という問いに対しては全国求人情報協会が示していている掲載明示項目を満たすというのも正解だと思います。その明示項目をすべてコンテンツに盛り込み、それぞれGoogleが定めたガイドラインに合わせてマークアップすればよいのです。
人間が理解しやすい文章を入力して検索することが一般的になると、今後流行する可能性があるのは音声入力による検索です。すでにGoogle HomeやAlexaなどのスマートスピーカーはある程度の発話文章を理解することができ、検索エンジンのように使うこともできます。求人検索の未来も音声入力での検索がメジャーになるかもしれません。
検索エンジンのコア技術である自然言語処理技術は日々進化し、研究論文もたくさん発表されている非常にホットな分野です。これからはGoogleしごと検索だけではなく、検索エンジンに関することも掲載していきます
参考
Googleがここ数年で最大の検索アルゴリズム更新、ニューラルネットのBERTテクノロジー投入
https://jp.techcrunch.com/2019/10/26/2019-10-25-google-brings-in-bert-to-improve-its-search-results/
Google、自然言語処理技術のBERTを検索システムに導入。英語検索の10%に影響あり
https://www.suzukikenichi.com/blog/google-applys-bert-models-to-search/