給与推定額の構造化データをわかりやすく解説【実例あり】
「Googleしごと検索に掲載している、自社の求人へ給与情報を表示できないのかな…」
とお考えの方に向けた記事です。
結論をお伝えすると、給与情報はJobPostingのような書けば表示されるものではありません。Googleが表示すると判断しないことには掲載できないのです。
しかし、書かなければ表示されないのも事実で、記載しておくに越したことはありません。
求人で給与を出すことは、会社側と求職者側の期待値をあわせるうえで重要。つまり、内定が決まってから「こんなはずじゃなかった…」と両者ないしは一方が思わないためにも、給与の情報を出しておく必要があります。
とはいえ、具体的にどうしたらよいかはわかりにくいですよね。
そこでこの記事では、Googleしごと検索における給与推定額の構造化データについて
・そもそもGoogleしごと検索で給与推定額を出せる状態にするには?
・Googleしごと検索で表示できる、給与推定額の関連プロパティ
・給与推定額の構造化データに関するコンテンツガイドライン
・給与推定額の構造化データが使われている実例:ミドルの転職
の順に解説します。
自社の求める条件に合った求職者から応募してもらうためにも、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもGoogleしごと検索で給与推定額を出せる状態にするには?
Googleしごと検索は、御社の求人ページをクロール(ロボットが自動でページを巡回すること)、またはIndexingAPIによる連携により掲載されるようになっています。
しかし、この給与数定額は求人情報のページではなく、職種情報のページとして別個で作成するのが一般的であるため、給与推定額の構造化データはJobPostingなど他の構造化データとひもづける必要はなく、単独で存在させることが必要です。
JobPostingではない給与推定額のプロパティで何が表示できるのか、については以下で解説します。
Googleしごと検索で表示できる、給与推定額の関連プロパティ
ここでは実際にGoogleしごと検索で表示できる、給与推定額の関連プロパティについて、以下の順で解説します。
【職業の定義に関するデータタイプ】
・Occupation
・OccupationAggregation
・OccupationAggregationByEmployer
【統計情報に関するデータタイプ】
・QuantitativeValueDistribution
・MonetaryAmountDistribution
統計情報に関するものは求人情報では扱うことは稀だと思いますが、難しいものではありません。
職業の定義に関するデータタイプ
まずは求人を出している職業について、情報を表示するためのプロパティを紹介していきます。
Occupationタイプ
Occupationタイプでは、給与推定額をはじめとして、業務内容や職種など、その職業に関する基本的な情報を表示できます。
必須プロパティは以下の通り。
・estimatedSalary:給与推定額。給与の幅や平均も表示できる。
・name:職業名。自由テキストで簡潔に説明する。
・occupationLocation:職がある地域。都市レベルの詳細さが推奨されている。
推奨プロパティもあります。こちらは任意で記述しましょう。
・description:職業の説明。詳細かつ具体的に説明する必要あり。
・mainEntityOfPage:給与推定額が出された日付。
OccupationAggregationタイプ
OccupationAggregationタイプでは、その職業の福利厚生や必要な経験年数を表示できます。
こちらは全て推奨プロパティです。
・sampleSize:給与データを出すにいたったサンプルの数。
・yearsExperienceMax:この職業で求められる上限の経験年数。
・yearsExperienceMin:この職業で求められる最低減の経験年数。
ちなみに2番目のyearsExperienceMaxは「若手だけを採用したい」と思っているときなどに便利なプロパティです。
OccupationAggregationByEmployerタイプ
OccupationAggregationByEmployerタイプでは、その求人を提供している大元の組織名を表示できます。
具体的には「セブン-イレブン 渋谷駅西店の求人を提供しているのは、セブン&アイ・ホールディングスなのか」のような情報を求職者に提示します。
必須プロパティは以下の通り。
・hiringOrganization:職業を提供する組織名。
統計情報に関するデータタイプ
次は統計情報に関するデータタイプを紹介します。主に給与の平均や上限などを表示できるプロパティです。
QuantitativeValueDistributionタイプ
QuantitativeValueDistributionタイプでは、その職種についている従業員の給与がどのような分布なのかを表示します。
必須プロパティは以下の通り。
・duration:日給なのか月給なのかなど、給与の時間軸を表示できる。
推奨プロパティもあります。
・median:給与の中央値。この職業につく人の半分以下はこの金額以下、という意味。
・percentile10:「この職業の10%がこの金額以下に分布する」のようなパーセンタイル値。
・percentile25:「この職業の25%がこの金額以下に分布する」のようなパーセンタイル値。
・percentile75:「この職業の75%がこの金額以下に分布する」のようなパーセンタイル値。
・percentile90:「この職業の90%がこの金額以下に分布する」のようなパーセンタイル値。
MonetaryAmountDistributionタイプ
MonetaryAmountDistributionタイプでは、提示する給与の種類を表示します。具体的には「基本給」「ボーナス」などです。
必須プロパティは以下の通り。
・name:基本給の指定が必須。その他、ボーナスなどの記載は省略できる。
推奨プロパティもあります。
・currency:通貨の単位。JPYなど3文字の通貨コードで記載する。
またここでは、先ほどご紹介したQuantitativeValueDistributionのプロパティを引き継ぎます。
次は、給与推定額の構造化データを書くさいに気をつけたい、コンテンツガイドラインについて解説します。
給与推定額の構造化データに関するコンテンツガイドライン
給与推定額の構造化データに関するコンテンツガイドラインは主に職種に関するもので、以下2つにまとめられます。
1. 範囲を広げすぎない
2. 詳細に書きすぎない
例えば「ソフトウェアエンジニア」「法人営業」が最適な詳細度です。これは自社で出したい求人を検索してみて検討するのがベターでしょう。
給与推定額の構造化データが使われている実例:ZipRecruiter
ここでは給与推定額の構造化データが使われている実例として、アメリカの求人サイト「ZipRecruiter」を紹介します。
ZipRecruiter では給与に関するページ「Salary(給与の意)」が個別で用意されています。
サイトでは以下のようなコードが入っており、給与推定額や職務情報が記入されているのです。
< script type = "application/ld+json" > { "@context": "https://schema.googleapis.com/", "@type": "Occupation", "name": "Medical Device Sales", "estimatedSalary": [{ "@type": "MonetaryAmountDistribution", "name": "base", "currency": "USD", "unitText": "YEAR", "percentile25": 65811, "percentile75": 129978, "median": 102080, "percentile10": 54843, "percentile90": 167271 }], "occupationLocation": [{ "@type": "City", "name": "New York City, NY, US" }] } < /script>
このように個別でページを用意する必要はありますが、そのぶん求職者に職務情報を正しく伝えることができるはずです。
給与推定額の構造化データを使って、条件に合った求職者を集めよう
ここまで給与推定額の構造化データについて紹介しました。まとめると、この構造化データは給与に関する情報を出すことで、条件に合った求職者を集めるためのものです。
単独のページを別個で作る必要はありますが、応募後のミスマッチを減らすためには重要な構造化データの1つといえます。
自社の人事にかかる工数を減らすためにも、開示できる情報がある担当者の方はぜひ記載してみてください。